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阿貴(アークエイ)。かくすればかくなることと知りながら、やむにやまれぬ大和魂。

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【日本よ】幼稚化に歯止めをかけ、武の精神を回復せよ! 「台湾の声」編集長 林建良(りんけんりょう)

【日本よ】幼稚化に歯止めをかけ、武の精神を回復せよ!

平成二〇年二月号「月刊日本」より転載

       「台湾の声」編集長 林建良(りんけんりょう)

●「ディズニーランド化」は日本社会幼稚化の象徴だ

 私は日本の「幼稚化」を強く憂えている。最近、ある政治家から頂いたカレンダーに、タレントがやっている番組に出演したときの写真をデカデカと使っていた。政治家がタレントのレベルに合わせ、迎合的な発言をする現象は日本の幼稚化を象徴している。

 「先生」と呼ばれ、尊敬される職業であるはずの国会議員がお笑い芸人に混じって、くだらない討論に参加し、視聴者の関心を惹きそうな軽薄な話をし、軽薄な番組に出演することが自分の業績であるかのように、選挙民にアピールする。選挙民は、その政治家は偉いと錯覚する。この連鎖を見て、私は非常に幻滅した。 知識があり、成熟した人間が、知識のない、幼い人間に対して媚びる傾向が、社会のあちこちで見られる。学校の教師も親も、子供に媚びるようになっている。日本の教科書は漫画化され、写真や挿絵がたくさん使用されて確かに読みやすい。しかし、学問とは、決して知識を頭に入れるだけのものではない。我慢し、苦労しながら学習するという学問の側面が希薄になる。しかも、高等教育にいく程、事態は深刻で、大学が保育園のような状況に陥っている。日本社会全体が「反知識」の社会に向かっている。

 日本が目指す国家像があるとすれば、それは「ディズニーランド化」なのではないか。ディズニーランドは、現実の世界とはおよそかけ離れた、ライオンと羊とが仲良く共存する平和な世界だ。そこには食うか食われるかといい厳しい生存競争は存在しない。

●「武の精神」を回復せよ

 日本には平和主義と同時に「武の精神」が脈々と受け継がれてきた。日本人には平和を欲するだけでなく、平和の維持には力が必要だという感覚があった。ところがいまは「力は悪だ」という考え方が蔓延し、ただ平和を求めるという風潮が強まっている。 台湾には、この武の精神がなかったからこそ、我々は武の精神を非常に尊敬している。私自身は柔道の稽古をし、息子には小学校から空手をやらせている。空手・柔道・剣道・弓道など、日本の武道はいずれも武の精神と培う上で大きな効果がある。

 ところが、武道は徐々に廃れ、武道と暴力とが混同されるようになってしまった。だからこそ、プロボクシングの世界にも出鱈目な選手が出るようになり、国技である相撲もただ勝ちさえすれば良いという風潮が強まって、「礼」をはじめとする本来の精神が軽視されている。これも日本社会の幼稚化の象徴だと思う。

 終戦後、連合国軍総司令部(GHQ)は、武道を「愛国イデオロギー」と結びつけて、日本の学校教育における武道を禁止してしまった。1958年の中学学習指導要領で、相撲・剣道・柔道などの武道が選択科目として採用されたが、選択制なので一切武道を経験しないまま卒業する生徒も少なくなかった。

 だが、06年12月に成立した改正教育基本法に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」との目標が盛り込まれ、ようやく変化が出てきた。07年9月、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の専門部会で、中学校の武道必修化の方針が了承された。これは、大変大きな前進だ。日本には、道場をはじめとする設備も、指導する人材もあるのだから、それを最大限活用するべきだ。

●幼稚化の原因は潔さという日本人の美徳

 日本には武の精神の核心に関わる、独特の死生観がある。中国人の死生観は「不老長寿」という言葉に示される通り、いつまでも生き続けたいというものである。道教は仙人思想、つまり「永遠に死なない」という思想である。これとは対照的に、日本人の死生観は「命とは儚いものである」というものだ。桜のように、ぱっと咲いて、ぱっと散ることに美を見出す。だから、「どのようにきれいに死ぬか」、つまり死に際を重視する。だからこそ、日本人は志のために自分の命すら犠牲にできるのだと考えられる。 神風特攻隊に象徴されるような特攻精神を美化するかどうかは別として、それが普通にできるのは日本人だけなのではないか。同じことは決して中国人にはできない。日本人のようなことを他の民族は真似できない。それは、日本人に備わっている遺伝子であり、それが独特の死生観にも表れているということである。

 武士道精神もまた、この日本人の死生観があってこそ成り立つ。「ノーブレス・オブリージ」(Noblesse oblige)(高貴なる義務)という考え方が日本人に受け入れられのも、その死生観と関わっている。

 では、日本の幼稚化が深刻化し、目標とする国家像が「ディズニーランド化」した原因はどこにあるのか。もちろん、東京裁判史観の注入にはじまる占領政策、戦後憲法、日教組による教育支配といったことが要因として挙げられるが、もっと深い原因は、日本人の潔さにあるのではないか。皮肉にも、日本人の一番良いところが、一番悪い結果をもたらしてしまったわけだ。

 潔いがために、日本人は戦後「負けたのだから、弁解もしない、いかなる罰も甘んじて受ける」という方向に向かってしまった。「戦前の善はすべて悪」というような極端な戦後日本の世論には、諦観というか、宿命としていかなる事態も潔く受け入れるという、日本人の性格が大きな影響を与えたと考えられる。

 こうして、「なぜ負けたのか。負けないために何が必要だったのか」を議論することはタブーとなった。失敗の原因を分析し、そこから教訓を導き出すことは、大きな知的財産をもたらすはずである。しかし、日本人はそれを放棄し、「二度と戦争を起こさないために何をすべきか」だけが考えられるようになり、日本を間違った方向に追いやってきたのではないか。

●国家変革の意志が希薄な日本の知識人

 幼稚化はリベラル派、左派だけの堕落によるものなのか。残念ながら、左派、右派を問わず堕落してしまったと私は思う。右派の堕落によって、目的を達成するための有効な運動も展開されずにいる。保守派論客といわれる人たちはそれぞれ優れた専門家で、歴史の非常に細かい部分に及ぶ広範な知識を持っていて、それを論じることはできる。現状に対する批判能力もある。しかし、日本が何によって動かされているのかという本質を見抜く力が弱まっているのではないか。

 世論を喚起するためにどうしたらよいかなど、着力点がどこかが明確になっていない。また、保守派論客は、雑誌に書き、テレビに出演し、講演をするが、それで終わり。影響力を行使して、国を変えようという意志が感じられない。

 彼らは「国を変えるのは国民の力だ」と言うが、そもそも国民の力などという
ものは存在しない。存在するのは、マスコミ、官僚、政治家の3つだけだ。この
3つの勢力の弱点を知り、彼らをどう動かすかが重要なのである。
 
 マスコミに対する抗議行動はある程度の効果があるが、供給源つまりスポンサー企業に圧力をかけるのが効果的である。マスコミは企業からの広告で成り立っている。企業は営利に敏感なので、批判を浴びて企業活動に支障がでることを避けようとするからだ。

 官僚も同じで、彼らが欲しているのは何か、恐れているのは何かを正確に把握して、そこを衝けば有効に圧力をかけることができる。どのような交友関係を持っているかなど、官僚一人ひとりの個人データファイルを作るといったことは、普通にやらなければならない。
 
マスコミ、官僚、政治家の3つに対して、どのように攻めていくか、どのように組織化して動くか。そのような面では、むしろ右派よりも左派の方が秀でている。左派は、例えば弱者とか差別を受けている人を組織化して、強大な圧力団体を形成している。右派は個人的に動くため、組織動員力に欠けている。もちろん、一匹狼的に動くという右派の流儀とか美学はわかるが、目標達成のためには保守派も、有効な手法を研究してもっと組織的に運動を展開する必要がある。

 右派が3つの勢力の力の所在を把握すれば、現状を変えることは可能である。それぞれの弱点を知れば、攻め方がわかる。ITが発展した現在、マスコミ、官僚、政治家を攻めるために、情報収集することは難しいことではない。右派の主張に沿って確実に現状を変えられる見込みさえあれば、資金も得られる。資金が得られれば、組織を整え、有効な活動ができるはずである。

 憲法改正、自主防衛路線はじめ、保守派が掲げている方向性は間違っていない。右派陣営は、今一度自分の運動の方向性が正しかった、手法は正しかったのか、組織は十分だったのかを検証し、運動に若い世代を取り込んでいく必要がある。

●国際環境の不安定化を変革のチャンスにせよ

 厳しいことを書いてきたが、それは日本に期待しているからだ。私は、日本が望ましい方向に進んでいくことができると強く信じている。

 あらゆる国に栄枯盛衰がある。日本の幕末は財政的にも厳しく、腐敗もあり、対外的にも危機の時代だった。有能な人材が存在したにもかかわらず、その能力を発揮できない状況に置かれていた。にも関わらず、好機を掴んで改革に成功した。

 いま、日本を取り巻く世界全体が不安定な時代に突入しつつあるが、この国際的環境変化をチャンスだととらえるべきである。安定した時代には、むしろ改革は難しい。改革は、不安定化した状況の方がやりやすいともいえる。

 世の中を大きく変えるエネルギーには3つある。戦争・天災・疫病の3つだ。このいずれもが近づいている兆候がある。

 台湾海峡有事と言われるが、台湾海峡での戦争を最も恐れているのは中国人だ。戦争になれば、中国経済は崩壊する。もともと中国人には国家天下などはどうでもよく、自分と自分の一族郎党の利益と安全を優先させる考え方が強い。

 現在の中国共産党指導者は大金持ちであり、彼らの師弟は皆アメリカという安全な場所に住んでいる。彼らは現金も株も所有している。彼らが恐れるのは株の大暴落である。戦争の噂だけでも彼らの資産が減少する。 日本人であれば、天下国家のために戦争をするかもしれないが、もともと中国人は極めて現実的な民族である。中国は、「台湾が独立するなら戦争をやる」と口では言っているが、毛沢東時代なら、人口が半減しても戦争をやるという考え方もあったが、もはやそうではない。戦争の主導権は我々台湾の側にある。

 また、中国では大気・水質汚染だけでなく、失業率上昇、格差拡大の問題が深刻化し、農村部の暴動も頻発している。だからこそ、中国は政権維持のために経済成長を続けなければならないが、そのためには資源・エネルギーの消費がさらに拡大し、その争奪戦が激しさを増す。不安定要素は山ほどあるのである。こうした不安定要因は、日本の変革を促すことになるだろう。

 日本はいまこそ、幼稚化に歯止めをかけ、武の精神を回復し、本来の姿に戻る
べきである。一刻の猶予もないはずである。

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