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阿貴(アークエイ)。かくすればかくなることと知りながら、やむにやまれぬ大和魂。

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【私の奥の細道】李登輝(3)見極める「本質」 産経新聞 2007年6月14日

【私の奥の細道】李登輝(3)見極める「本質」


産経新聞 2007年6月14日


 ■台湾再生へ終わりなき旅

 「かす漬けがいい。これでお願いします」。角館(秋田県仙北市)にあるしょうゆの醸造元で、土産物を物色していた台湾の李登輝前総統は、ポケットからサッと財布を取り出すと、店主に千円札を差し出した。

日本語で著書を出版する知日派の李氏が、日本円を持っていても不思議ではない。とはいえ紛れもなく国外の要人だ。あわてて立て替払いを済ませた日本側関係者のひとりは、「ご自分で日本円を持ち歩いていたなんて…」と驚きを隠せない。

 総統経験者であり、農業経済学の専門家でもある李氏は、11日間にわたる今回の訪日で、さまざまな側面をのぞかせた。

 李氏一家を乗せた車列は、松島(宮城県)の海景色を離れ、「山寺」の名で知られる内陸の立石寺(山形県)へと向かう。「閑さや岩にしみ入る蝉(せみ)の声」。芭蕉の有名な句はこの地で詠んだものだが、東北屈指の仏教信仰の霊山に来ても、李氏は「私は別の宗教を持っており、特に申し上げることはない」とそっけない。しかし、若葉が芽吹く新緑に話を向けると、ぐっとひざを乗り出して言った。

 「昨日は海、今日から山。正直にいってびっくりした。森の緑のみずみずしさ。山が大切にされているなぁ。台湾も国として全体的な国土保全を真剣に考えなくちゃいけない。台湾はあと50年かかるかなぁ」

 中尊寺(岩手県)に着いても同様だった。ここ平泉の地に勢力を張った奥州藤原氏が、源頼朝に滅ぼされたのは1189年のことだ。その約500年後に平泉を訪れた芭蕉は「夏草や 兵どもが 夢の跡」と詠った。だが、李氏の関心はもっぱら、京都から遠く離れた東北に拠点を置いた奥州藤原家の「国家戦略」にあった。「なぜ、ここに“都”を置いたか、今も解せない。昔から中国あたりでは地政学が重視されるんだが、地理的な問題に加えて財源がなければ、(国家は)立っていけるものじゃない」

 芭蕉の足跡をたどる李氏の移動距離は760キロを超えた。道中、「芭蕉の苦労が分からない」と繰り返した。新幹線や高速道路を使った今回は「楽な旅」だったからで、「芭蕉のように、ぽつぽつと歩いてみたい」と再訪に意欲を示した。

 そして李氏は訴える。「将来を見据え本質を見極める努力が大切だ」。台湾内政に目を向ければ、目立つのは近視眼的で自分本位な論争ばかり。李氏が今後、「奥の細道」から台湾再生への「最後の設計図」を描くとすれば、「私の旅は終わりません」ときっぱり語った言葉の意味は重い。(長谷川周人)


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