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在日台湾人を中国国籍と見なす入管の非道措置に反対する 2002-09-10 永山英樹

文章声明 2002-09-10
年列 | 作者


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国籍正名運動
在日台湾人を中国国籍と見なす入管の非道措置に反対する
台湾研究フォーラム事務局長 永山英樹

 
 一、日本政府は台湾を中国の領土とは承認していない
 日本在住の外国人が持つ外国人登録証明書(外登証)について知る日本人はあまり多くはないようだ。これは法務省入国管理局(以下、入管)が各市町村長に交付を委託しているものであり、ほぼ日本国民の住民票に相当するものとされる。ただし、二十項目にもわたる個人情報、すなわち、氏名、出生年月日、性別、国籍、国籍の属する国における住所または居所、出生地、職業、旅券番号、在留の資格、居住地、勤務所または事務所の名称及び所在地などの記載もあり、その意味では住民票と言うより戸籍謄本に近いと言える。 外国人登録法の規定により、長期滞在の十六歳以上の外国人が「常にこれを携帯していなければなら」ないされており、警察官などから提示が求められた場合はいかなる状況でも提示しなければならず、もしそれを拒めば「一年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金」に処せらることになる。それほど在日外国人には重要である外登証だが、実は所持者が台湾人の場合、その記載内容の上で極めて不条理な措置が採られているのである。すなわち、国籍欄における表記が、中華人民共和国出身者と同じ「中国」なのである。

 言うまでもなく台湾は、中華人民共和国とは全く別の国である。その統治を受けてもいなければ、受けたこともない。また香港のように「返還」が予定されるようなものでも全くない。日本政府にしても、台湾と国家とは承認していないものの、日中共同声明(昭和四十七年)においても明らかなように、台湾を中華人民共和国の一部とは認めていない。この点はマスコミをも含む多くの日本人がしばしば勘違いするところだが、同声明で日本政府は中華人民共和国の「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」という立場を「十分理解し尊重」するとしているに過ぎず、中国の領土であるとは承認していないのである。台湾がどこの国に帰属するかという問題については、日本政府はサンフランシスコ条約で台湾の主権を放棄した以上、どこの国の領土であるとは言えない、と言うのが公式の見解だ。

 二、在日台湾人が日本で味わう屈辱

 それではなぜ外登証は、台湾人の国籍を「中国」とするのか。それについて述べる前に、在日台湾人が日本政府によって「中国人」にされることで、どのような処遇を受けているかについて触れよう。

 まずはっきり言えることは、この記載によって、多くの日本人から中国の国民と誤解されるという事実である。これが台湾人にとっていかに屈辱であるかは、彼等の身になって考えればわかることだろう。それは祖国を否定され、他の国の人間と見なされる屈辱である。

 例えば留学生が日本に来たばかりの時、学校の書類で自分が他国の人間になっていることを知り、愕然とするという話はいくらでも聞かれる。

 さらには必要に応じて外登証を警察官に提示した際、この「国籍」のために執拗な職務質問を受けると言うことだ。なぜなら急増する外国人犯罪の内、中国人によるものが最も多く、警官は「中国」という二文字に極めて敏感になっているからだ。しかも驚くなかれ、「自分は台湾出身であり、中国人ではない」と説明しても、多くの警官は俄かには信用しないのだと言う。これらは何も特殊なケースというわけではない。常日頃発生していることなのである。

 つまり我々日本人の知らないところで、日本に住む台湾人は日常的に、日本政府から台湾人としての尊厳を傷つけられ、あるいは人権が損なわれ、生活上の障害を多々受けているのだ。居住先、あるいは留学先として日本を選んだ台湾人の多くは親日家である。その彼等がこのような処遇によって日本及び日本人に対し、不信の念を募らせていると言うことを我々は真剣に考えなくてはならない。

 三、台湾人の人権に冷淡な入国管理局

 では日本政府は、果たしてどのような根拠に基づき、在日台湾人にこのような「仕打ち」を敢えてするのだろうか。この国籍の記載について、法的規定は何ら存在していない。つまりこれはあくまで入管の内部的な事務上の取り決めに過ぎないのである。

 そこで当会は平成十三年、この「取り決め」の不合理性を指摘し、その改正(「中国」から「台湾」に書き改めること)を訴えながら、複数回にわたって入管の「責任ある」担当官とやり取りを行った。

 その経緯についてここで簡単に述べておきたい。日本の役人がいかに台湾について無知、無関心であり、台湾人に冷淡であるかが理解できると思う。

 当初入管の担当官は台湾人を「中国籍」と見なす根拠として、まず「中国」とは中華人民共和国を指すと言明した上で、「台湾は中華人民共和国の一部だから」との説明を行った。これが政府見解に反することは言うまでもない。それを指摘したところ、狼狽した担当官は数日間の内部研究及び協議を経て、「日本政府の外交上の立場とは別に、入管には入管の世界がある。台湾は『国』ではないので、便宜上中華人民共和国と見なしている」と言う「理屈」で開き直りを見せた。

 政府見解を無視した入管の不法性に対し、当会及び在日台湾同郷会は日台共闘の大規模な抗議デモを繰り出した(それまで台湾人は、在留資格の取り消しを恐れ、入管に強く抗議する者はまれだった)。

 実はこの直前に入管では、それまでの説明とは異なる「取り決め」の正式な「根拠」を「探し当て」ていたのである(つまり彼等はそれまでそれを知らないでいたと言うことだ)。ところが彼等はその「真根拠」を、デモが終わるまで当方に敢えて伏せて語らないと言うマネをしたのである。彼等はそれまでの当方からの厳しい批判に相当の恨みを抱いていたようだ。デモ隊に的外れなことを叫ばせ、恥をかかせようとの魂胆だったことは、その後の担当官の態度から十分にうかがえた。

 彼等の言う真根拠とは、「外登証の国籍欄に記載する国名は日本政府が原則的に『国家承認』するところの国名である」「『中国』と言うのは中華人民共和国を意味するものではなく、日本政府が『国家承認』する『中国』であり、中国大陸と台湾を包含する(広い意味での)『中国』である」と言うものだった。

 そしてこうも言いきった、「入管は台湾人の人権など侵害していない。訴えるなら訴えろ」と。

 しかし政府は、台湾を国家として承認していないはずではないのか。

 四、「国家承認」の謎と矛盾だらけの出鱈目な措置

 入管のこの「根拠」なるものを更に詳しく説明すると、日本政府による中華人民共和国の承認は「政府承認」と言うものであり、「国家承認」とは異なる。そしてそれとは別に「国家」として承認する、台湾をも含んだ「中国」と言うものがあるのだと言うのである。

 それではその「国家承認」するところの、台湾をも含む「中国」とは一体何なのか。そして「国家承認」という作為はいつあったのか(なかったはずだ)。台湾の帰属先については、日本政府はノータッチであるはずではなかったのか。

 これらについて外務省中国課台湾班に問い合わせたところ、その回答は人によってまちまちだったのである。

 「政府はたしかにそのような国家承認をしているという立場を採っているが、法的根拠(条約常の根拠)はないし、政府見解であるとも言えない難しい問題である」「いつ『承認』したかはわかっていない」、そして「そのような『国家承認』などしていないはずだ」等々。これが外務省の台湾担当部門の実態である。台湾の国家的位置付けについて、ここまで曖昧のまま放置してきたのだ。

 結局、当会からの問題提起により、台湾班でも問題の拡大を恐れて必死に研究を重ねたらしく、結局次のような見解を提示してきた。「日本政府は戦後、『中国』という国家を代表する政府として中華民国を承認してきた。その後それを中華人民共和国に改めた。このように政府が国家承認する『中国』とは、この二つの中国政府の領土と言うことになる。台湾がどこに帰属するかと言う地理的問題ではなく、台湾であれどこであれ、中華民国と言う政府があるところは『中国』である、と言うことらしい」。外務省が「国家承認」というきわめて重大な問題で、「らしい」とは一体どう言うことか。

 話を入管に戻そう。

 「国家承認」するところの「中国」と言う概念がいかに現実から乖離した、しかもあやふやなものであるかは、ここでは取り敢えず問題にしない。今問題にすべきは入管が、そのような国籍記載の「原則」なるものを掲げているにもかかわらず、その実、自らそれに違反しているということだ。なぜなら中華人民共和国出身者の外登証については、「記載される『中国』は、『政府承認』するところの『中華人民共和国』をも意味すると説明しているからだ。つまりこの場合は同じ「中国」でも広義の「中国」ではなく、中華人民共和国の略称としての「中国」であると言うことである。

 これについて在日台湾同郷会会長林建良氏は次のように言う。「(入管の担当官に対し、)それだったら私の外登証に『この場合の〈中国〉は中華人民共和国ではない。概念的な〈中国〉です』という説明を書いてくださいと言った。そしたら『それは書けない』と。それはそうでしょうけれども、同じ〈中国〉という二文字にわざわざ説明が必要なら、〈台湾〉と表記した方が余程合理的です」(「明日への選択」平成十三年九月号)

 また台湾人の「中国」なる国籍記載が、「中華人民共和国を意味するものではない」と言うのが入管の説明だが、実はそれがウソとだ言わざるを得ない事実もある。

 つまり台北市出身者の外登証の記載である。そこでは国籍欄に併記される本国の住所や出生地の欄が「台湾省台北市」になっているのだ。言うまでもなく台北市は台湾の中央政府の直轄市であり、台湾省の枠外にあって、そのような「住所」は存在しない、つまりそれは、台湾の中央政府を認めない中国が主張する、全く架空の行政区画と一致しているのだ。実に出鱈目な措置としか言いようがない。これは中国に対する媚だろうか。こうした矛盾だらけの措置を入管が継続する限り、在日台湾人の人権は侵害され続けるのである。

 五、台湾人の尊厳の擁護は日本人の道義問題

 入管には、「台湾を国家と承認していないから、台湾人には国籍がなく、しかし『無国籍』とすることもできないので、『中国』が適当である」とする見方もある。これほど子供染みた見解を我が国の政府機関は持っているのである。国でないならないで、地域名としての「台湾」を国籍欄に記載すれば済むことではないか。台湾と外交関係を持たない他の国ではいずれも、台湾人の外登証上の国籍を、それぞれの国の言葉で「台湾」と記している。アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、シンガポール、ニュージーランド、南アフリカ、韓国などはみなそうである。イギリスは「TAIWAN-ROC」(ROCとは中華民国の略称)とし、中国の「CHINA-POC」と明確に区別している。ベルギーに至っては、「台湾共和国」という「国名」である。台湾を中国の一部と承認している国以外は、このように日本を除いては「中国」としてはいないのである。

 当り前である。偽りの記載をしたところで混乱を招くだけであることは、どこの国でも知っているわけだ。日本政府にしたところで、国交のない北朝鮮国籍の人に対しては、地域名としての「朝鮮」と記載しているのである。もし「韓国」とでもしたなら、たちまち大問題に発展することを、入管はよく知っているのではないだろうか。

 いずれにしても入管は、明らかに中華人民共和国と混同されやすい在日台湾人の国籍表記は改めなければならない。しかもそれによって現に在日台湾人が、尊厳と人権を踏みにじられ、言い知れぬ屈辱を味わっている以上、早急に行わなければならない。

 これは台湾人の人権問題と言うだけでなく、日本政府の国際道義に関わる問題なのである。入管の堕落した小役人達の勝手な取り決めにより、日本国民全体の信義が傷つけられても良いのだろうか。これでは世界で最も親日的と言われる台湾に対し、会わせる顔がないと言うものだ。

 しかもそれだけではない。台湾人を中国人と極め付けることは、まさしく台湾の併呑を目論む中国の野望に手を貸すことに等しいのである。日本人には台湾を売り飛ばす権利は無論ない。入管には恐らく、日本政府一流の、中国に対する過度の気兼ね心理が働いているように思われるが、もしそれが事実なら断じて許されないことである。最早この問題において日本人は、道義、正義、勇気、気概が問われているのだ。

 今後も当会はあくまで日本人の立場から、在日台湾同郷会をはじめとする在日台湾人とともに、この問題の解決に向けて活動を続けて行く考えである。この「国籍正名」の運動に、こころある方々のご協力を期待して止まない。


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反響(SENSATION)


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日本は感謝の心を以って台湾原住民を祭っている2002/09/03 永山 英樹

日本は感謝の心を以って台湾原住民を祭っている
~靖国神社は「感謝の心」を以って日本の戦死者英霊を慰めているのであり、生前から死後まで「圧迫」しているという高金素梅の主張は誤りだ~
2002/09/03 永山 英樹


原文は中文、「台湾日報」2002年8月27日付け「時論」欄に掲載

私は第2次大戦中に日本のために戦った、世界一勇敢な台湾の原住民部隊「高砂義勇隊」を尊敬して止まない日本人である。台湾を訪問すれば必ず、台北県烏来郷の「高砂義勇隊英霊紀念碑」へ参拝し、慰霊と感謝の真心を捧げている。そのため原住民立法委員高金素梅が八月十二日、我が国の靖国神社を訪れ、「高砂義勇隊」の霊位を台湾に返還することを求め、靖国神社から拒絶されたという一件にも強い関心を持っている。

私はかねてから、台湾原住民の尊厳と利益のために貢献している高金素梅には敬意を抱いており、今回の行動にも一定の理解を示すことはできる。もちろん彼女が支える原住民遺族の気持ちにも深く同情はしている。ただ私は高金素梅がいうように、原住民の戦死者が、生前から死後の今日に至るまで、「久しく日本人に圧迫されている」とは思わないし、思ってはならないと考えている。なぜなら現在原住民が中華民国の国民になっているように、好むと好まざるとにかかわらず、かつては日本の国民であり、当時はあくまでも日本国民として出征したからだ。日本人として生まれ育った彼等は、日本政府の呼びかけに当然のように志願し、そして日本人以上といわれる忠誠心、道徳心、戦闘力を発揮し、多くの将兵から尊敬されていた。その戦闘記録を読めば、感動で涙が出るほどだ。その彼等が日本人に騙され、または強制的に戦地に追いやられたという見方が、「台湾論」騒動以降、台湾ででているが、それが事実にまったく反することは、生還した原住民兵士に直接聞けば明らかであり、歴史研究者の間でも常識である。私自身多くの元兵士や遺族から、「志願のうえ選抜された」と誇りをもって話すのを聞いている!それを「圧迫されている」と同情するのはかの勇敢無比な原住民兵士に対する侮辱ではないか?

私は戦時中の日本政府を弁護のためではなく、当時日本人だった彼等の名誉のために言っている。また台湾原住民が伝統的に持つ崇高な精神のために言っているのだ。私は台湾人から「軍国主義者」と誤解されることを恐れない。ただこのことだけは是非強調したいのである。また彼等は日本人同様、戦死後に靖国神社で国家の英霊として祭られることを心から誇りにしていた。これも私自身、直接聞かされていることである。靖国神社にも、いつも大勢の元兵士や遺族がはるばる台湾から参拝にきていることは日本ではよく知られていることだ。

彼等は騙されたのではない。繰り返すが当時原住民はあくまで日本国民として生まれ育ち、日本人として戦い、そして死んだ。それに感謝の気持ちをこめて、慰霊を行っているのが靖国神社なのだ。

靖国神社はあたかも政治的宣伝施設のように海外から誤解されているが、実際は純粋な戦死者の慰霊施設にしかすぎず、政治活動など一切やっていない。神社側の主張は、すでに神になっている原住民の魂から神格を人為で勝手に奪うことができないというものだと思うが、それが日本人の信仰心だ。また戦死者の魂は靖国神社以外の場所において、異なる宗教でも同時に祭祀できるというのも日本の宗教感覚だ。台湾人はこれを理解してくれるだろうか?

また高金素梅は「靖国神社は原住民を日本人と同様に扱っているというが、原住民の遺族には毎月三十万円の補償金を支払われていない」と憤っていたが、「恩給」(補償金)の問題は日本政府の問題であり、かつての日本と中華民国政府の交渉の問題であって、靖国神社には関係ない。

今回の件では、台湾人も日本人もともに善意であるのに、何らかの誤解からか、問題が紛糾していることが残念でならない。

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日本から見た「台湾民族」の優越性 2002/09/12 永山 英樹

原文は中文、台湾最大紙「自由時報」2002年9月7日つけ掲載
日本から見た「台湾民族」の優越性
2002/09/12 永山 英樹/日本・台湾研究フォーラム事務局長


総統府秘書長陳師孟氏は八月三十日、陳水扁総統の「一辺一国」発言を追認する形で、「我国には所謂『一つの中国』の政策は存在しない。『一つの中国の原則』と いうものはなお承認できない」と明言した。【……表示,「我國沒有所謂『一個中 國』的政策,更不承認所謂的「一個中國原則」」実に理に適った発言だ。後は 「我々は中華民族ではなく台湾民族だ」と言えばよい。

日本には中国に留学した者の多くは反中国になり、台湾に留学した者のほとんどは 親台湾になるという傾向がある。私も十数年前に中国に留学した一人だが、帰国後に 初めて台湾を旅行して驚いたのは、この「もう一つの中国」の国民が大陸とは全くの別人種に見えたことだった。台湾人は概して理知的で文化レベルが高く、親切、正 直、明朗、清潔で公共心があり、これですっかり「哈台族」の一人になった。

以来私は台湾研究をつづけているが、なかでもとくに関心があるのが、台湾人のこ の「民族性」である。なぜ同じ「中華民族」でありながら台湾と大陸とではこれほど異 質なのか。私の得た結論は簡単に言えばこうである。「中華民族とは極めて文化的な 概念であるが、台湾人及びその社会は明らかにそれとは別箇の文化、文明の原理に立脚している。だから実質的には別箇の民族である」。

もちろん台湾の平地伝統文化のベースは中国文化だ。しかし近代国家としての社会 文化は、中国よりむしろ日本のそれに近い。それは体制や価値観が近いから、と言う だけでは説明はつかない。台湾人の近代国民としての意識、思想、素養、マナー、立ち居振舞いなど、実に日本人の方に近いのである。もちろんそれには日本が欧米の近 代文化の影響を摂取したのと同様、台湾人が日治五十年を通じ、日本的な近代文化の影響を受けたと言うことがことが何より大きい。

戦前日本は「世界の一等国」と称されていたが、台湾人も日本の敗戦段階で、既に 「一等国国民」の文明的資質を備えていたことについては、台湾の戦後世代はあまり知 らないようだ。例えば李筱峰の『林茂生・陳火斤和他們的時代』によれば、一九四五年 八月の終戦から十月の国府軍進駐までの「政治的真空時期」、台湾人は自発的に治安 維持にあたり、ものの見事に全島の治安を全うしている。これは他の民族には為し得 ない人類史上の奇跡とも言える。もし「中華民族」なら、人々はみな「土匪」とな り、台湾は略奪と暴行の生き地獄と化していたことだろう。

たしかにその後は「中国人化政策」が強行され、今日の社会でも中国的な傲慢で不条理な価値観の残滓が散見できる。しかし九二一大地震で世界を驚嘆させた台湾人の秩序ある大団結ぶりに、私はかつての「文明」が健在であることをあらためて確認した。

外省人と呼ばれる人々が大陸の中国人よりはるかに文明的なのは、それは台湾人に同化されたからである。学校教育の普及と発展も一因だが、それを支えていたのも、 実は近代教育に対する台湾人ならではの理解と欲求である。戦後行われたのは「中国人化」と言うより「台湾人化」だったとしたら、台湾の「文明」が中国の「政治」に勝ったと言うことになるだろう。「文明」と言うことを考えるなら、「人治」から「法 治」への大転換も、中国人主導では為し得なかったはずだ。

「民族性」における中国人との異なりには、近代日本の影響だけではなく、それ以前の開拓移民社会の歴史にも要因があろう。台湾人の圧倒的多数は原住民の末裔であると する沈建徳の『台湾常識』の統計学的な学説や、その他の医学研究【遺伝医学研究?】の調査結果に従うなら、善良、素朴な平埔族の性格も大きく作用しているのかもしれない。だから台湾人が自信を以って「台湾民族」であるとさえ自覚すれば、正真正銘の「台湾民族」が形成され、台湾はこれまで以上に尊厳ある国家として発展できるはずなのだ。

台湾の戦後世代には、「中国の歴史・文明の悠久さ、国土の広大さ」に惑わされて台湾に自信を持てず、中国人意識を捨てきれない者が多いが、まったくナンセンスで ある。世界の先進国のほとんどは中国より若くて小さいが、中国以上に豊かで安定し た文明社会を築いているではないか。実際台湾もそうである。

台湾人がこれほど優れた文明を持っていながら、なおも自らを「中華民族」だと思い たがるのは、我々外国人から見れば単なる卑屈な「植民地根性」にしか見えない。台湾 人に求められているのは、自分達が中華民国の「奴化教育」の犠牲者であることに一 刻も早く気づくことであり、統一派である聨合報、中国時報等の日刊紙や、テレビ各 局による情報操作を見ぬけるだけの良識、洞察力を養うことである。

目下日本政府は在日台湾人の外登証の国籍欄に「中国」と記載している。我が台湾研究フォーラムは在日台湾同郷会(林建良会長)に呼応して、それを「台湾」に改める よう要求する、「台湾正名運動」に協力しているが、その実政府側の言い分にも一理 ある。つまり、「台湾は中国と名乗っており、台湾人も自分を中国人だと思っている」と言うものだ。これは多くの国民にも共通する見方であり、そのために少なからざる日本人は、台湾が中国の一地方政権だと信じ込んでいる。台湾人はこれを屈辱だとは思 わないのか。

台湾人よ自信を持て!自ら進んで中国人に成り下がるような愚を犯し、世界の笑い 者になるな!

日本語訳 林建良(在日台湾同郷会会長)

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